車検と定期点検
道路運送車両法において、自動車の保守管理責任はユーザー自身にあること(自己管理責任)が定められており、自動車ユーザーには、日常点検と定期点検が義務付けられています。ユーザーは日常点検を含めた定期的な点検・整備を怠ることなく、自動車の安全の確保に努めなければならないのです。
車検と定期点検整備の違いはなんですか?
それぞれの特徴は次の通りです。最も大きな違いは車検が保安基準への適合性を見るのに対し、定期点検は安全性を確保するために行う点です。
車検
その時点でのクルマの安全面や公害防止面が基準に適合しているかどうかを検査するもので、次の車検までの安全性を保証するものではありません。下記の定期点検整備や別途の整備を確実に実施していくことで自動車の性能や安全性を維持することが肝要です。
定期点検整備
クルマのトラブル防止や性能の維持を図るための予防整備であり、不具合箇所や部品の摩耗などを発見し、整備することで高い安全性を確保するものです。自動車使用者には適切な自動車の点検及び整備により自動車を保安基準に適合するよう維持する義務があります。
車検の費用の内訳について
車検の費用には、クルマの点検・整備に必要な料金(技術料、部品・油脂代、保安確認料など)と、税金等諸費用(自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料など)があります。
点検・整備料金等
基本点検技術料 | 定期点検で義務づけられている項目の点検を行う技術料金 |
整備技術料 | ・点検の結果、整備が必要な箇所の整備を行う技術料金 ・お客さまのご用命により行う整備の技術料金 |
部品・油脂代金 | 使用部品、エンジン・オイル等の代金 |
保安確認(検査)料金 | 検査機器等を使用して基準に適合しているかどうかの確認を行う技術料金 |
検査代行手数料 | お客様に代わって運輸支局等に出向き、車検証の更新手続きを行うための料金 |
エンジン、下廻り洗浄料 | より正確な点検整備を行うためのエンジン、下廻り等の洗浄料金 |
下廻り塗装料 | クルマの下廻りの腐食等を防止するための塗装料金 |
税金等の諸経費
自動車重量税 | 車検時に国に納める税金 |
自賠責保険料 | 自動車使用者が必ず入らなければならない法律で定められている強制保険 |
検査手数料 | 検査を受け、自動車検査証の交付を受けるための国へ納める手数料 |
整備事業場で行う車検とユーザー車検や代行車検との違いはなんですか?
それぞれの特徴は次の通りです。最も大きな違いは車検の際に整備事業場では必ず定期点検を実施するという点です。
ユーザー車検・車検代行「整備のない車検で安心ですか?」
自動車ユーザー自らまたは、ユーザー車検代行業者がクルマを国の検査場へ持ち込んで車検を受けることをいいます。これらの場合、車検の際に点検整備を実施しないケースがほとんどであり、上のグラフに示すようなトラブルが発生してしまう可能性が高くなります。自動車には定期的に交換しないと様々な悪影響(エンジンから異音や異臭がする、ブレーキの効きが悪い、雨の日に車が滑るなど)が出る部品・油脂類が多くあるためです。「あのとききちんとした整備工場で車検をやってもらえていれば…」「結局泣き寝入りか…」と後悔しないためにも下記の整備事業場による車検を強くおすすめします。なお、国は先述の車検が行われた車についてデータ取りを行い、啓発に役立てております。
整備事業場による車検「整備付き車検」
国から認証を受けた事業場として、クルマの状態を点検した上で必要な整備を実施し、安全面、公害防止面(保安基準への適合性)を十分に確認したうえで車検を受けます。さらに整備事業場では、定期点検を実施したクルマには一定期間の整備保証をしているので、より安心してクルマを使用できることでしょう。かかる費用についても事前にきちんと概算見積書を交付し、追加整備が発生した場合もお客様へ許可を得てから実施するのが認証工場の常識・鉄則として浸透しております。また、中古車を購入する際にもネットオークションや個人売買よりも「認証整備工場」が併設する販売部門で購入され、きちんとしたアフターサポートを受けることを強くおすすめします。近年、未認証(無認可)工場とのトラブル(車検後の故障・事故や承諾なきまま整備された…etc)や個人売買で購入した車の車検を依頼したら高額な整備費用となり後悔している…といった相談も全国的に増加傾向にあります。時代は日々より便利に変わっていきますが、費用の面、技術の面、安心・安全第一をモットーに会員工場は日々向上心をもって業務を行っております。
定期点検整備とは、どういうところを点検・整備するのですか?
定期点検とは自家用乗用車の場合、車検と車検の間の年に行う1年点検と車検時に行う2年点検があり、自動車の故障を未然に防ぎ、その性能維持を図るのが目的です。ユーザー本人が容易に行うことができる日常点検にくらべて専門的知識・技術・作業機械等が必要な点検内容なので、整備工場に依頼して、熟練したプロの目と腕でしっかり点検してもらいましょう。
ステアリング装置
ハンドル操作の不具合を防止するため、ロッドおよびアームの緩み、がた、損傷等を点検します。
ブレーキ装置
ブレーキの効き不良を防止するため、ブレーキディスクの摩耗および損傷等を点検します。
動力伝達装置
走行時の振動や動力伝達不良を防止するため、プロペラシャフト連結部の緩み等を点検します。
電気装置
エンジンの始動不良や排気ガス悪化防止のため、点火プラグの状態等を点検します。
走行装置
ホイールの脱落などを防止するため、ホイールナットおよびホイールボルトの緩み等を点検します。
サスペンション
サスペンションの異音の発生や不具合を防止するため、取付部および連結部の緩み、がた、損傷等を点検します。
エンジン
エンジンの不具合を防止するため、冷却装置の水漏れ等を点検します。
ばい煙・悪臭のあるガス・有害ガスなどの発散防止装置
熱害による火災発生等を防止するため、排出ガス減少装置の取付の緩みおよび損傷等を点検します。
不正改造とは?
不正改造(保安基準不適合)にはさまざまな種類があります。気軽に部品交換や装着をしたら、実は不正改造(危険・処罰・車検が通らない)だったということも…。ネットでの買い物が当たり前な昨今、部品交換や装着の際は不正改造にならないための注意が必要です。
灯火類の灯火の色を変更
高速走行する自動車の動きを示す制動灯や方向指示器。決められた灯光の色を替えるということは、誤認を与えとても危険です。
運転者席・助手席の窓ガラスへの着色フィルム貼付け
運転者の視界を妨げる濃い色の着色フィルム。運転席および助手席の窓ガラスに貼ると、状況確認が困難になりとても危険です。
タイヤおよびホイールの車体(フェンダー)外へのはみ出し
高速で回転する突出したタイヤやホイールは、歩行者に危害を及ぼしやすく、車体やブレーキ機構への干渉により事故や故障の原因にもなります。
基準外のウイングの取り付け
基準には不適合となるリヤウイングの取り付けは、他の交通の安全を妨げるおそれがあります。